累代表記

     

       

     

オオクワガタブリーディングで耳にする累代飼育の累代とは、「代を重ねる」という意味で、

近親交配(インラインブリード)を行うのが一般的で、

この近親交配代重ね数を F (Filial generation) で表記しています。

なぜ近親交配か?というと、

    

◎ 少ない種親で数が増やせる。

◎ 遺伝子の単少化で、大型の親個体が持つ大型に成長する遺伝子の引き出し及び固定化。

◎ 遺伝子の単少化で、良形の親個体が持つ良形に成長する遺伝子の引き出し及び固定化。

   

などが挙げられます。

累代飼育の出発点は、となる種親 P (Parent) を手に入れる必要があり

通常、野外採集個体を用います。そして、このPメスの産んだ子供がF1で、

このF1兄妹(姉弟)同士の交配の子供がF2、F2兄妹(姉弟)同士の交配の子供がF3、

という具合に数字が増えていきます。

    

しかし、F値が増えると血が濃くなるのは当然で、弊害(奇形・小型化・生殖能力喪失等)も起こりうるので、

F5あたりを上限(私的)として、別の血統ライン個体と交配(アウトラインブリード)する必要が出てきます。

   

別血統個体同士の交配では近親交配が終了し、F値がリセット状態になります。

例えば、

同血統のF3オスとF3メスの交配の子供はF4ですが、

別血統のF3オスとF3メスの交配の子供をF4と 表記するのは誤りで、

リセット状態に従い、正式にはF1に戻ります。

   

F1とは雑種第一世代のことを表す表記なので、クワガタブリーディング界では、

野外採集個体交配の子供と、ブリード個体別血統交配の子供の2パターンがあることになります。

野外採集種親PをW(ワイルド)と表記し、その子供をWF1(ワイルドF1)と表記しているのは、

この2パターンを区別しているわけです。

                

  

オオクワドランカー考案・提唱の累代表記

  

野外採集成虫

累代飼育の出発点で基種親Pを表す

W=Wild Caught(野外採集・野生捕獲)・・・ワイルド

F0

材割り採集幼虫(蛹)羽化成虫・材割り採集成虫

Wと同一扱い(WもF0も共に累代血量は出発点の0ゼロである)

WF1 W(F0含む)同士の交配個体・野外採集メスの腹持ち子

W×W

W×F0

F0×W

F0×F0

WF2

W種親から同血統交配の第2世代個体

WF1×WF1

W×WF1

以下〜    
CBF1

ブリード個体の別血統交配個体

血の入れ替えを行ったもの・インラインブリードに関係なく交配されたもの

CB=Captive Breed(管理下繁殖)・・・自家繁殖個体・養殖個体

CBF2

ブリード個体種親から同血統交配の第2世代個体

CBF1×CBF1

以下〜    

同血統でF値が異なる交配は、多い方を基準にカウントする

W×WF2=WF3

WF1×WF2=WF3など

  

ごくまれに、野外採集メスの腹持ち子をF0と表記するのを見かけますが

よく考え直してほしいものです。どう考えてもF1(WF1)です。

なぜなら、腹持ち子兄妹(姉弟)同士の交配は同血統交配であり、F2(WF2)に該当するからです。

    

         

過去の文献による同系・異系交配の実験で共にF1→F2→F3→F4→F5と表記しているのは

便宜上用いているものだと私は思っています。

現在のクワガタ界の累代表記は、本来の遺伝学的F値表記ではなく、

野外品からの世代数が累代数という独自表記が主流になっていますが、

F5以上が存在しないという累代数ごまかし個体が存在したり、

逆に本来の表記どおりにブリード品の別血統交配個体をF1と表記し、

それをいいことにWF1個体と区別せず、混同されている個体もあるようです。

そのいいかげんさに思い悩むものがあり、私の扱う個体に関しては徹底した血統管理を行うべく、

この様なページをUPしました。

独断と強引的な内容もありますが、ご覧になった方はご自分の考えと照らし合わせ、

判断していただければと思います。

            

2001年1月15日UP

2001年3月8日追記

2001年12月10日追記

            

北海道ビートル研究会所属で医学関係者でもある田畠慎哉氏が提唱する

「新しい累代表記法の一提案」へのリンクです。

オオクワドランカーの累代表記を土台とし、 田畠氏が独自案を発表されております。

是非、ご一読下さい。

↓     ↓     ↓

「新しい累代表記法の一提案」

北海道ビートル研究会

 

 

私、トミヨウは2002年8月に田畠氏から連絡をいただき、累代表記に関する情報交換を行いました。

 

田畠氏の「新しい累代表記法の一提案」は

(有)東海メディア刊行、くわがたマガジン第9号にも掲載されています。

                

                  

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