山梨県冬季材割り採集記3

2001年12月5日〜12月6日

                  

             

                  

2001年12月5日〜6日に、今シーズンも山梨県まで材割り採集に行ってきました。

一昨年2頭、昨年2頭のオオクワのメス幼虫を割り出しているが、未だにオスが採集出来ず、いずれも1人による採集だったため、

あっちへ行ったりこっちへ行ったりとアバウトな単独行動だったのだが、

昨年12月12日に持ち帰った幼虫が見事オオクワに化けてくれ、採集したニクウスバの立ち枯れ台木をほぼ手付かずのまま残してきたため、

この材の中にはまだオオクワの幼虫がいることに確信があったので4人の方を採集にお誘いした。

しかし平日の急な誘いだったため皆スケジュールが合わず、ネットで知り合った東京都板橋区在住のHNワタくんと2人での採集となった。

今回は長々と採集記を書こうと思う。

    

当日は朝8時に双葉SAで待ち合わせ、簡単に挨拶を済ませて、早速、目的地の穂坂町ポイントKに向かった。

車を止め昨年とは逆の方角から茂みの中に入っていき、「もう少しで現場です。」などとワタくんに説明しながら

胸がドキドキ心ワクワク状態で歩いていき、まもなく現場というところで私の目に1つの光景が映った。

それは私の秘蔵のニクウスバ材を叩いている1人の人間の姿だった。

「え、まじ!うそー!!!」私は気が動転して腰が砕けてしまい、その場にしゃがみ込み、

その人を見つめながらしばらく立ち上がることが出来なくなってしまった。

その人も私達に気付いたので、気を取り直し遠手に声を掛けてみた。その人を仮にAさんと記す。

「オオクワですか?」

Aさん「はい。」

私「それ、ニクウスバの立ち枯れですよね。」

Aさん「そうです。」

私「採れましたか?」

Aさん「はい。幼虫ですよ。」

こんな感じの話を交わした。やはりオオクワは入っていた。・・・あ〜なんということだ。

何のためにワタくんをこのポイントまでお連れしたのか意味がなくなってしまった。これからどうしよう?

もう行くところ無いなー。などと考えつつ、とりあえずAさんの所まで行き、再度話し掛けてみた。

私「この材どうでした。手付かずでしたか?」

Aさん「はい。手付かずでした。2週間ほど前に群馬の知り合いと待ち合わせ、一緒に叩きました。

そのときに30頭位採れて、全て群馬の知り合いが持ち帰ったので、今日はその残りの回収です。

材の上部からメス成虫が3頭出ましたよ。今日は根部からオスの幼虫が出ました。」

Aさんのルアーケースの中には一目でオオクワのオスとわかるデカイ幼虫と数頭の幼虫が納められていた。

私「実は昨年、この材からオオクワ幼虫を割り出したので、それで今日ここに来たんですよ。

どちらからお越しになったんですか?」

Aさん「横浜です。」

私「私も横浜なんですよ。」

そんな会話を交わした。30頭も採れたのか・・・心の中ではため息が出ていた。

せっかくなのでこの材を撮影させてもらうことにした。

    

     

秘蔵のニクウスバの立ち枯れは、変わり果てた姿に変身していた  (T_T)トホホ

     

するとAさんはバッグに道具をしまい始めた。

私「あれ、もうやめちゃうんですか?」

Aさん「どうぞ。」

もう、この材からは出ないと判断したのか、それとも私が横ヤリを入れ水を差してしまったのかわからないが、帰りの支度を始めてしまった。

私「すみません。では。」

ご厚意に感謝してワタくんと2人でおかまを掘ることにした。しかしだいぶ削られており、かなり硬い部分しか残っておらず、

力任せに随分と強引な叩き方をしたせいか出てきた小さめの2頭を潰してしまった。私はこれはオオクワではないと自分に言い聞かせた。

Aさんはちょっと離れたところで別の材を叩き始めていたが、しばらくして戻ってきて「出ましたか?」と聞いてきたので、

「いいえ、駄目ですね。」と答えた。

その後もしばらくがんばって叩き続けた。Aさんはいつの間にかいなくなっていた。

その材を叩きながら、「やっぱりオオクワ出たんだ。」「2週間前まで手付かずか。」「ああ、悔しいな〜。」「何で見つかったんだろ〜。」

独り言が後から後から出てきて、諦めきれない女々しい私の姿があった。

しばらくワタくんと2人で削ったが、残っているのは生木に近い部分でとても硬く、食痕が現れる気配もなく何の進展もないので、

ワタくんに任せて辺りを見て回ることにした。

土手の斜面にAさんが叩いたと思われるニクウスバの切り株があり、露出した根部に削った後が見られたが削りが甘い気がした。

Aさんが私たちに残してくれたのだろうか?数回叩くと食痕が現れた。慎重に削るとポコッと幼虫のお尻が見えた。

お尻の中にはフンが詰まっている。もしやオオクワ???慎重に割り出すと何とも言えぬ3令幼虫が出てきた。

この切り株からはこの1頭のみで、土手の上にあったカワラの切り株からは真透明で間違いないコクワ幼虫が出た。

同じくらいの大きさなので2頭を持って比べると、似ているが頭部のとんがり模様が明らかに違っていた。

オオクワと思いたいが最近は自分の同定力に自信が無くなっている。

           

     

ん〜期待した幼虫だが?   左・多分コクワだろう   右・完全コクワ

         

別の切り株からはコクワと思われる幼虫が2頭出て、計4頭になった。そのころワタくんも諦めてこっちにやってきた。

2人で目に付く材を手当たり次第叩き始めたが、何の成果もなく時間だけが過ぎていった。

私は例のニクウスバ材に未練があり、また叩き始めた。ワタくんは昼食を食べに車に戻った。

私もしばらく削った後、諦めて車に戻り、軽く昼食を食べたがあまり喉に通らなかった。

時間は13時を回っていた。全くあてがなくなってしまった。

私「どうします?もう、あてがないんですよ。2人で新規開拓でもしますか?

あ!敷島町に2年前に見つけたクヌギの倒木が1本ありますが・・・ん〜、そのために敷島まで行くのは・・・。」

ワタくん「いいですよ。お任せします。」

私「ん〜、実はこのポイントを中心に右側は調査したことがあるんですが、左側はまだなんですよ。

新規開拓のつもりで、自分の足で歩いて自分の目で見て確かめたいんですよ。どうですか?」

ワタくん「いいですよ。」

ということで、このポイントの左側を調査する事になり、ワタくんの車をここに残し私の車で移動し、茂みの中に身を投じることになったのだが、

人の入った形跡は全く無いが日当たりも悪く、朽ち木も全く見あたらず、ほとんど材を叩くことなく終わってしまった。

さっぱりな結果にワタくんに悪いことをしてしまったが調査が出来て自分的には納得出来たので心はすっきりした。時間は15時近くになっていた。

私「どうします。明野の方でも行ってみますか?」

ワタくん「その敷島に行きましょうよ?明野より近いですよね。」

私「ただのクヌギの倒木ですから期待できませんが・・・では行ってみますか!」

ワタくんの車で敷島に向かったが、私には1つの懸念材料があったのだ。

その倒木は畑の奥の林にあり、その畑を横切らないとたどり着けない場所で、農作業をしている人がいるとその場所に行けないのだ。

現地に着くと悪い予感が的中した。軽トラが止まっていて農作業をしている人がいたのだ。

なんてことだ!今日はとことん運が悪い!

私「あの奥の林にあるんですよ。これでは無理ですね。どうします?

他には青カワラの付いた切り株がある場所がないこともないんですが、そこに行ってみますか?」

ワタくん「お任せします。」

2年前はとても硬く、全く手を付けられない切り株だったのでいい印象はなかったのだが、他にあてもないので行ってみることにした。

だいぶ陽も落ちてきているのでこれがラストと思いながら現場に着き、無数に転がる倒木を叩いてみると、

ザクザクというよりサクサクとたこ採れ君が入った。朽ち過ぎのようだ。

クワガタの食痕は無くコクワも出てこない。キマワリの幼虫などのミルワーム類だらけであった。

適当に叩きながら歩いていくと、切り株が多数点在している地帯にたどり着いた。

私が2年前に叩いたと思われる古い削り跡はあるが手付かずだ。誰にも見つかっていないようだ。

まず1つ、適当に側面を叩き始めた。樹皮は簡単にそげ落ち、GOODな感触の白枯れした部分が現れた。

いい感じに朽ちているが食痕が全く現れない。「いい材なんだけどな〜。居ないな〜。」などと独り言を言いながら削っていると、

ポコッと穴が空き、今まで見たことのない大きさの幼虫の頭が出現した。

「ん?ん?ん?・・・出た〜〜〜!!!ワタく〜ん!オオクワ出ましたよ〜。」

近くの倒木を叩いていたワタくんを呼び寄せた。

私「見てください。この大きさ、頭の色、間違いなくオオクワですよ!」

ワタくん「ホントだ!これはオオクワですね。」

      

     

いきなり頭部が・・・   下の食痕はこの幼虫のものだった

      

食痕より先にいきなり現れたので、まず傷を付けていないか確かめると体液は出ていなかった。 ホッ。

慎重に周りの部分を削り始めると食痕が現れた。よし、まだ居るぞ!そう思い、

ニッパーとラジオペンチで徐々に穴を拡げ無事にオオクワの幼虫を取り出すことができた。

「ふう。」安堵のため息が出た。明らかにオスのオオクワ幼虫とわかる個体だった。 \\(^o^)//

     

ついにオオクワのオス幼虫をGET!

しかも敷島町某所産!

40gオーバーのアンテ幼虫より大きく重く感じる

     

ワタくんも反対側を削り始めた。私もさらにその周りを慎重に削り始めると右側にぶっとい食痕が現れ、2頭目を回収できた。またまたオスだった。

                 

続いてこの2頭目もGET

           

ワタくんが「こっちも出ましたよ。デカイ。」と言うのでそちらに寄って見ると、デカイ幼虫が姿を見せていた。

が、何かおかしい???「これカブトですよ。」私が拾い上げワタくんに差し出した。

ワタくん「カブトか〜!ホントだ!残念!フンが大量にあったからおかしいと思ったんですよ。」

カブトのやらせにも気を落とすことなく2人で削り続け、私は根部に続く新たな食痕を発見し、ワタくんも1つの食痕を見つけ追跡を始めた。

しばらくするとワタくんが「頭が出ましたよ。」と言うので見せてもらい、息を吹き付け食痕カスを飛ばすとオオクワ幼虫の頭がのぞいていた。

アゴに小枝をかませ見事にワタくんが取り出した。ワタくんのオオクワ幼虫初GETの瞬間である。

私の2頭より少々小振りの個体だった。メスマークがあったのでメス幼虫ゲットである。  \\(^o^)//  

記念に撮影したのだが、私の手違いでデジカメに記録されなかった。ワタくん、ごめんなさい。

私も追跡している食痕があったが、日もどっぷり暮れ辺りは暗くなっていた。16時半を回っていた。

「俺、今日は帰らないで宿を探して泊まりますよ。明日もこの切り株を叩きますよ。ワタくん、どうします?」

私は休暇を取ってあったので問題はないが、普通は無理な質問である。が、ワタくんも手配をしてOKになった。

明日は雨予報が出ていたのでそれが心配だったが覚悟を決めた。その後、私の車の所に戻った。

日帰りのつもりで来ていたのでお互い着替えが無かったが、とりあえず双葉町のホテルで温泉に浸かって疲れを癒した。

ここに泊まれればいいのだが予算オーバーのため別の宿を探すことにした。

韮崎駅近くの2件の旅館に交渉してみたが本日は満室とのこと。ルートイン韮崎というビジネスホテルを教えてもらったのだがここも満室だった。

韮崎にビジネスホテルがあるなんて知らなかったがこれからは活用させてもらうことにしよう。

ここで竜王町のビジネスホテルを紹介してもらい、ようやく宿泊先が見つかった。

ホテルに着いたときには21時になっていた。腹はペコペコである。

チェックイン後は外に出かけ、和食レストランで食事をしながらワタくんとクワ談議で盛り上がった。

ワタくんは、国産オオクワガタを北海道と鹿児島県を除き、全ての都府県産を所有されているというなかなかのやり手で、

ネットを通じ地元のブリーダーさんが自己採集した個体の累代個体を譲っていただいているということだ。

最近は採集人口も増え、東京都産や埼玉県産も所有されているそうで、失礼ながらそれって???個体では!と思いがちであるが、

採集された方法を聞くとその努力が伝わってきて、そのブリーダーさんを信じて交流を深めたいというすばらしい考えの持ち主である。

22時半にはホテルに戻り、23時にはお互い寝入ってしまった。

   

    

翌6日は8時30分に起床したが、案の定、外は小雨模様であった。177の予報では昼までには止むという。

ずっと落ち着かなかったが、チェックアウトの時にはほとんど気にならない状態まで天候は回復してくれた。

コンビニで食事を買い込み、車で食事を済ませ足早に現場に向かった。

雨は小降りで完全には止んでいなかったので、帽子を雨具代わりにかぶることにした。

私は早速、昨日見つけた食痕を追跡したが根部に続いていたため後回しにして、別の食痕を探した。

慎重に削り続けると、食痕が現れたり消えたりしてどうなっているのかわからなくなってきたが、

突然ポコッと穴が空いたりして、昨日よりは小さめだがオオクワの幼虫を次々と割り出した。

           

     

食痕はこんな感じで太い   頭、わかりますか?

         

ワタくんも昨日割り出した辺りを重点に叩き、新たな食痕を追跡していたが、通常のナタを使っていたため、

たこ採れ君を使う私より効率が悪く、なかなか先に進めないようだったがようやく2頭目を割り出していた。

そこそこの大きさでメスマークも無い。ワタくんはペアの完成だ。

私もメスをなんとか追加して計6頭になり、根部に続いていた食痕を追跡するため周りの土をかき分け根を露出させたが、

結構堅めの根で追跡に時間が掛かったが食痕は途中で消滅していた。一体どこに行ってしまったのか?無駄骨だった。

また、今日は小さな虫が飛び回っており、耳元でブ〜ンブ〜ンと羽音をたて、不快な思いをさせられた。

後にこいつらはアブ類と判明した。露出していたおでこに無数の刺され跡があり、この採集記を書いている現在、

痛みはないが顔面がパンパンに腫れているのだ。

昼には雨も上がり、私は周りの材も期待できるのではと、点在している別の切り株と倒木を叩き始めた。

切り株はどれもいい感じで朽ちているが残念ながら何も見つけることは出来なかった。倒木は上面にミルワーム類などが多数見られ、

ひっくり返し底面を削るといい感じの幼虫が出てきた。7頭ほどを割り出し、出てきた材ごとに区別してルアーケースに収納した。

ワタくんは最初の切り株1本に絞り、中心部に喰い入っているのではないかとがんばっていたが、なかなかはかどらない様子だった。

私も再び切り株に戻り、底部を叩くと食痕が現れ7頭目を追加した。

また別の食痕を発見し追跡したが、根部に続いていて途中でわからなくなってしまい諦めたのだが、

「もしかしたら上に戻っているかもしれないので叩いてみる。」とワタくんが言った。

早いもので16時頃になり日もだいぶ暮れてきて、結構満足した私はあまり削らなくなったせいか体が冷えてきたので、

もう少し粘るというワタくんを残し、一足先に車に戻り、採集記録を撮影することにした。

20分ほど経ち、「あの食痕、やっぱり上に続いていて、なんとか割り出したんだけど傷つけちゃった。」

ワタくんがやるせない様子で戻ってきた。見せてもらうとそれはクワガタではなく大きなカミキリの幼虫だった。

辺りはだいぶ暗くなっていたので、よく確認できなかったようだ。オオクワでなくて正直ホッとした。

        

日が暮れてから撮影した今回の切り株

                 

              

               

今回の結果

左上・敷島町の倒木から4頭   右上・穂坂町Kにて4頭
     
  左下・敷島町の切り株からオオクワ7頭   右下・敷島町の倒木から1頭&2頭

               

     

今回の成果・オオクワ7頭  右上はコクワ   左・コクワ  右・オオクワ

                

陽はすっかり落ちたので、この場所は2人の内緒ということで解散の運びとなった。

今回はワタくんの進言がこの地に来るきっかけとなったので、とても感謝している。

ワタくん、お疲れさまでした。また一緒に来ましょう。  (^o^)/~~~

             

               

                    


              

4頭が2♂・2♀で無事に羽化しました。2002/7/28取り出し確認しました。

オオアゴは直線的で細長く、頭幅は無く、お世辞にもかっこいいとは言えないが、

これぞ国産!山梨産!というフォルムで、これらを種親にして累代で良形個体を目指そうと思う。

     

     

敷島町産65ミリ 2002/6/8羽化             敷島町産62ミリ 2002/7/6羽化

敷島町産♀41ミリ 2002/6/7羽化

敷島町産♀40ミリ 2002/6/12羽化

         

                  

                         

戻る